JAPAN lacrosse 君の人生に、限界はない

ラクロス界の日本人メジャーリーガー達

本場アメリカプロリーグへの挑戦

 

本記事では、男女それぞれで初めて米国プロリーグでデビューを果たした日本人選手である岩本海介さん(2017-19年Denver Outlaws所属)、廣瀬藍さん(2019年BRAVE所属)にお話しを伺った。

海外挑戦を経ての学びと、改めて気づいたラクロスの魅力について語ってもらった。

 

プロフィール


岩本海介(いわもと かいすけ)

1986年生まれ(34歳)。慶應義塾高校入学時にラクロスを始め、慶應義塾大学男子ラクロス部でゴーリーとして活躍。21歳以下日本代表。卒業後は国内の社会人ラクロスチームStealersを経て、2017年に米国挑戦。2018年にDenver Outlawsとの契約を勝ち取り、2018年7月22日に日本人として初めて米国プロリーグの試合に出場。最近の趣味は釣り。

廣瀬藍(ひろせ あい)

1993年生まれ(27歳)。2016年上智大学卒。大学入学時にラクロスを始め、関東ユース選抜、22歳以下日本代表選出。卒業後、国内社会人チームNeoで活躍。2017年W杯イングランド大会日本代表。2018年に米国女子プロリーグのBRAVEに入団、日本人女子初の米国プロ選手としてデビューを果たした。クラシックバレエ歴12年。

海外のプロリーグで闘った二人が感じた、リアルな世界との差


本日は宜しくお願いします。まず簡単に自己紹介をお願いします。

(廣瀬)2016年上智大学卒の廣瀬藍です。2019年に米国女子プロリーグの Braveでプレーしました。現在は青山学院大学女子ラクロス部のコーチ、また国内の社会人チームNeoで選手として活動しています。

(岩本)慶應義塾大学2009年卒の岩本海介です。2015年に渡米して、当初は英語も出来なくて、友達を作るつもりで公園でラクロスしている人達に声をかけて仲良くなったら、いつの間にかプロのトライアウトを受けるまでになっていました。「ラクロスを楽しむ」をモットーに活動してます。

 

なぜ米国プロリーグに挑戦されようと思ったのでしょう?

(廣瀬)2017年に出場したW杯で目標を達成できず、その悔しさからより高いレベルで自分を鍛えたいと思っていたところ、W杯の翌年に米国プロリーグのトライアウトが日本で開催されるのを知り、これだ!と思い迷いなく参加しました。

(岩本)プロのコーチのアドバイスが欲しいなという軽い気持ちで2016年に初めてトライアウトを受験したのですが、そこでいいパフォーマンスをしたのに落とされた事で火がついちゃいましたね。2017年、2018年と続けて受けて、やっと合格してチームに加わる事が出来ました。

 

実際に米国のプロチームに在籍されて、どれくらい手応えがありましたか?

(岩本)トップに食い込むのは難しかったですが、十分通用しそうだという認識はありましたね。

(廣瀬)自分が強みにしている部分は通用しそうと感じていました。その強みを練習や試合で発揮できるかがポイントでしたが、そこが難しかったですね。

 

お二人は日本国内のトップ水準もご存知ですが、日本人が米国で通用する部分とはどこでしょう?

(岩本)ゴールキーパー等、一芸系のポジションはまだチャンスがあると思います。ただ、米国と日本で求められているスタイルの違いもあります。日本は万能型の選手が好まれ、全員が連動して同じ動きが出来る事を求める。一方米国では、例えば左利きの攻撃専門選手はプレーエリアが固定されていたりするんですね。自分のストロングポイントを発揮できる場所にしかいなかったりして。求められている能力が個々人で違って、同じポジションに同じ個性の選手がいたらそもそもトライアウトで受からないこともあります。

(廣瀬)細かい要素を見れば日本人が秀でている部分もあるかもしれないですが、米国人はその差をフィジカルでカバー出来てしまうんですね。女子はAT(フォワード)とDFならまだDFの方が勝負出来るかなと思ったが、それでもまだまだ大きな差があると感じました。

 

ラグビー日本代表はジャパン・ウェイを提唱し、世界と対峙するための独自の戦い方を確立し躍進を遂げましたが、ラクロスでもジャパン・ウェイは確立できるのでしょうか?

(岩本)ジャパン・ウェイを確立したければ、米国から人を連れて来て一緒にプレーすることが最も有効だと思います。ラクロスの最前線である米国におけるトレンドが日本にはなかなか伝わってこなくて、そこの情報格差をまずは解消したいところですね。

(廣瀬)同じ意見です。日本はコーチ人材が不足していると感じます。世界の潮流を分かった上で日本代表をリードできる人材がまだいません。

(岩本)米国のコーチを呼ぶとしたら、チーム方針やマイルストーンの設定に係わってもらった方が良いでしょうね。今の国内の学生チームは「学生主体」で運営されていますが、マイルストーンが不明瞭、チーム方針が毎年変わってしまうという弱点があります。チーム基盤が改善され、個人技が伸びれば、海外に出た時にカルチャーショックを受けなくなるはずです。

 

そもそも相手を知らない、と言うのがキーワードだと思います。お二人の目から見て、日本のラクロスは世界に近づいているのか、はたまた遠のいているのかでいうとどう思われますか?

(廣瀬)現状ではまだまだ遠いですね。日本はW杯で4位となったり、世界的には上位にランクインしていますが、米国やカナダといった最上位の国とは大きな壁があります。米国の高いレベルを継続的に体感できる仕組みを作らないとその壁は破れない思っています。

(岩本)僕も同じ意見です。例えば、イスラエルは米国人を連れてきて子供たちにラクロスを教えているんですね。このまま行ったら2,3大会後には勝てない相手になっているかもしれません。ジャパン・ウェイを追求することも大事ですが、米国自体も進化を続けておりまずはオリジナルを追求しなければ答えは見えてこないと思います。

 

自分を客観視して、行動すればどこまでも行ける。ラクロスは可能性だらけのスポーツ。


日本ラクロスが世界を目指すためには、まだまだ大きな壁があるということですね。その壁に立ち向かう中でお二人が感じられた、ラクロスのもつポテンシャルとはなんでしょう?

(岩本)今いる状況を見つめ直し、その状況を分析し行動に移す事が出来れば、どこまでも進化できると思います。そういう意味でラクロスは可能性だらけのスポーツで、「世界」を体感するためには物凄く良いツールです。英語も話せない僕が米国プロリーグを知ることができたのも、世界中に友人が出来たのも、すべてラクロスのおかげです。コミュニティが小さい分、他のスポーツだとあり得ないような人と人との繋がりがある。米国でもラクロスはまだまだメジャースポーツではないので、「ラクロスやっているの?仲間だね!」と直ぐに仲良くなれます。

(廣瀬)ラクロスは他大学の同級生とも繋がりを作りやすく、私の場合はそれが成長の糧になりました。ユースなどの選抜チームで同世代の仲間に刺激を受けていてので、さらに成長できる環境を求めて、他大学の練習に参加していましたね。そのおかげで常に自分の目線を高く保つことができました。

 

ラクロスって武者修行(他のチームから練習参加を受け入れる事)に寛大なところがありますよね。

(廣瀬)たしかに、チームの枠を超えた繋がりを強く感じますね。これもラクロスならではの魅力だと思っていて、他のスポーツで自由に他のチームの練習に参加させてもらえる事ってないんじゃないかなと思います。

 

米国でのプロ挑戦で得た達成感や嬉しかった事はありますか?

(岩本)勿論自分がデビューした時も嬉しかったのですが、それ以上に嬉しかったのはチームが優勝した瞬間ですね。自分が出場していなくても喜べる事、これはチームスポーツの特権だと思います。

(廣瀬)チームの一員になれたと感じた瞬間が嬉しかったですね。ある試合で相手からボールを奪う事が出来たのですが、そのプレーを終えてベンチに戻った時にチームメイト全員がめちゃくちゃ祝福してくれました。結果が出せるか不安だった時に、みんなから掛けてもらった言葉一つ一つがとても嬉しかったです。

性格上のところかもしれませんが、米国人はワンプレーワンプレーに対して熱くなるところは見習うべき点ですよね。

(廣瀬)本当にそう思います。シュート以外のプレーでも観客含め全員で反応するのは本当にいい文化だと思います。是非そういった良いものも日本に根付かせたいですね。

 

「ラクロスを選ぶやつは普通じゃない」


岩本さんもラクロスの繋がりがご自身の人生の振れ幅に影響を及ぼしていると思います。

(岩本)ラクロスを選ぶやつって普通じゃないと思います。高校までサッカー部だった人は大学でも体育会サッカー部入るだろうし、そこまでの実力がなくても準体育会やサークルでサッカーをやるのが一般的だと思います。その中で20歳を目前にして全く新しい事を始めるって、簡単な事ではないですよね。でも、せっかくその道を選んだのなら、是非突き抜けてほしい。身内で固まるのではなく、外に出て色んな世界を見て欲しい。自分が会う人も世代、大学、地域、国を超えて繋がっていて、人生がとても充実しています。現在進行形で、ラクロスによって人生を変えているんですね要は、せっかくラクロスを選ぶのだったら、ラクロスのいいところを全部体験し尽くしませんか?と今から始める人には伝えたいです。

(廣瀬)本当に岩本さんの言う通りで、ラクロスは繋がりを作りやすいし、出身競技がバラバラな点も含めてバックグラウンドが多種多様。自分と違ったジャンルの人に出会う事が多いです。今から入ってくる人も是非盛んに交流して、その繋がりを競技にも、人生にも活かしてほしいですね。

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