JAPAN lacrosse 地上最速の球技

全てのスポーツ経験者が
活躍するラクロス

日体大准教授が語るラクロスの魅力

 

日本体育大学においてスポーツ社会学を研究する傍ら、同大学ラクロス部において部長を務められている亀山有希さんに、ラクロス特有の文化や、特殊な競技性について語っていただいた。

 

プロフィール


亀山有希(かめやま ゆうき)

日本体育大学ラクロス部部長。

日本体育大学大学院卒。日本体育大学児童スポーツ教育学部児童スポーツ教育学科准教授。

 

あらゆるスポーツ経験が活きる、スポーツの集大成「ラクロス」。


ラクロス部の部長を4年間務められた中で、ラクロスには驚かされることばかりだったと伺いました。

まず、棒で相手を思い切り叩いて良いと聞いた時には衝撃を受けました。「そんなことしても良いの!」って。他にもゴールの裏に回り込めたり、シュートの速さだったり、それまでに見てきたどのスポーツよりも激しかったですね。

 

確かに、激しいフィジカルコンタクトや、ボール展開のスピード感は圧倒的ですね。

初めて見た時には独特なルールが多いように感じましたが、実はラクロスって「あらゆるスポーツの集大成」とも言えると今は思っています。

バスケットボールのピックがあったり、サッカーのプレスのような戦術が用いられていたり、ゴール裏を使用できるのはアイスホッケーと同じだったり。

あらゆるスポーツの要素が詰まっていて、だからこそどんなスポーツを経験してきた人でも、各々の強みを発揮しやすいんだと思います。

 

ラクロス日本代表選手も、バスケ、柔道、テニス、野球、サッカーと、様々なスポーツ経験者から構成されていますね。

ラクロスはカレッジスポーツで大学から始める方が多いからこそ、「それまでにやってきたスポーツを転換し、表現するスポーツ」ですね。日本体育大学のラクロス部でも、それぞれのスポーツ経験を持ち味・武器として、チームに貢献している選手がたくさんいます。

 

「挑戦」を支える環境が確立されている


大学1年生から始めても4年時にはチームの主力選手になるように、成長が早い点もラクロスの特徴だと思いますが、ラクロスならではの秘訣があるのでしょうか?

人間関係がフラットであることと、チャレンジを支える環境が整っていることが大きいと思います。

ラクロス以外のスポーツだと、上級生やコーチとの関係性がうまく築けず、新しいチャレンジをしたくても言い出せなかったり、却下されてしまうということがいまだに多くあります。一方、ラクロスの人間関係はとにかくフラットで、上級生・コーチと下級生が密にコミュニケーションをとれる環境になっています。日本体育大学ではもちろん、多くのチームで「縦割り班制度」を導入していて、1年生から4年生が練習中だけでなく休日もともに遊んだりする関係性になっています。

他にも「自分たちでコーチを決める」という文化があります。私も最初は衝撃でしたが、新シーズンが始まる際に、自分たちがお願いしたいと思ったコーチに声をかけて指導してもらうチームが多いです。学生自身が決めるという点はもちろん、それに応えてコーチを担ってくれる社会人がたくさんいることが素敵だと思います。

スポーツ経験も、学年も、大学も関係なく、「挑戦したい」という学生の思いに答えてくれる人が確実にいる、という点がラクロスの魅力だと思っています。

 

コーチを決めるだけでなく、運営のほとんども学生自身の手によってなされていますよね。

良い意味で、ラクロスには決まり事がないんですね。他のスポーツは「決まり事が決まっている」場合が多い。組織運営も、育成のメソッドも、歴史の積み重ねがあるからこそ、それがネックになってしまう場面があります。

一方ラクロスは、練習メニューから新歓の方法まで、学生自身がすべてを意思決定して進めていきます。状況が変われば、先例のない取り組みをすることもあります。特にコロナ禍におけるラクロス部の取り組みは社会的にも注目されていましたよね。大学の壁を超え、複数の大学間で新入生を紹介しあったりして新歓をする様子はメディアでも取り上げられていて、私自身も驚きました。

 

ラクロスについて語る上で「学生主体」というキーワードは欠かせませんね。

私がラクロス部についてすごいと思うのは、「学生主体」を言葉だけでなく、行動として体現しているところです。「主体的にやってみな」と言われても、「なにやったらいいの?」「どうしたら正解?」と困惑してストップしてしまう学生はいません。もちろん入部して最初の数ヶ月は、高校までの部活・体育の名残で、すぐに主体的に動くことは難しいかもしれません。

しかしラクロス部では、フラットな人間関係のエコシステムがあります。コーチや上級生が作り上げてきた自由な振る舞いや学生主体の運営方法が、上級生と密に接するうちに、下級生に引き継がれていくんですね。

 

2020年はリーグ戦といった、オフィシャルな活動も現役の学生自身が作り上げました。

新型コロナウイルスが感染拡大する状況においても、決して悲観的にならずに、希望を持ち続けながら多角的にラクロスのあり方について考える学生がたくさんいました。目の前のリーグ戦がどうなるのか、不安になることはもちろんあったと思います。しかしそこに留まらず、「私たちはどうしてラクロスをやっているのか」と、根本的な問いについて考える学生が多かったことに驚きました。

リーグ戦の開催についても、そもそも開催するのか、開催するとしたらどういった制度か、とゼロから制度を組み立てるという難題を、自ら試合に出場する現役学生たちが議論して作り上げたことは、ラクロスの文化を象徴していると思います。

 

社会に出てから必要不可欠な「対話力」を伸ばす、ラクロス部の取り組み


複雑な競技性や、学生主体の運営を通して、どういった素養が育まれるのでしょうか。

「対話」の力だと考えています。

伝統的な部活動では、既にあるノウハウやメソッドを踏襲し、いかに再現するかといった点に重きが置かれます。一方ラクロスでは、過去の積み重ねはもちろん尊重しつつ、毎年、学生自身が対話を通じて新しいあり方を作り上げています。しかも、同級生だけでなく、上級生やコーチ、他大学の学生といった幅広い人と対話をできる文化があります。こうした「対話」の力は、社会に出てからも必要不可欠なものです。

「対話」を通じて、「主体性」「自発性」といった能力を発揮できる点もラクロスならではです。規模も目標もチームによって様々ですが、一つの目標を仲間と共有し、達成するために高め合えるという点はチームスポーツの素敵なところですよね。ラクロスの場合はその過程がとても優れていて、4年間で飛躍的な人間的成長を遂げる可能性に満ちています。

 

ラクロス部というユニークな環境における人間的な成長について語っていただきました。亀山先生、本日はありがとうございました。

こちらこそありがとうございます。日本にラクロス部が登場して35年が経ちますが、これからさらに日本ラクロスが成長していくと信じています。ラクロスは北米発祥のスポーツですが、今新しい文化が日本から生まれていると感じます。これからの日本ラクロスを支える仲間をお待ちしております。

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