JAPAN lacrosse ナニモノにもなれる4年間
選手一筋だったマネージャーが語る、葛藤と決意
ソフトボールの中心選手からマネージャーとしてチームの中心へ
中高時代はインターハイを目標にしていた選手でありながら、大学からはマネージャーとして活躍している山本さん。「ラクロス部のマネージャーはそれまでの『マネージャー』像とは違う」。そう語る山本さんの葛藤、そして決意とは。
プロフィール
山本結実(やまもと ゆみ)
東北福祉大学女子ラクロス部新3年生。総合福祉学部福祉心理学科。中高ではソフトボール部で活躍し、県大会進出。東北福祉大学女子ラクロス部にマネージャーとして入部し、チームの渉外やスタッツ集計などの業務を担当。
(2021年5月30日)
高校時代のマネージャーへの感謝
高校まではソフトボール部に所属されていたとのことですが。
公立の高校だったんですけど、私立に勝ってインターハイに行くことを目標に3年間頑張っていました。中学生の時からソフトボールをやっていたので、高校では1年生の時から試合に出させていただいて。
スポーツ推薦とかのある私立は手強いですよね。最終的にはどこまでいかれたんですか?
1年生の時に県でベスト4まで進出しました。2、3年生の時はベスト8までいったのですが、結局3年間インターハイには出場できず、悔しかったです。
県でベスト4はすごいですね!それだけ打ち込んでいて、大学でもやろうとは思われなかったですか?
引退して直後は、喪失感も大きかったのでソフトボールを続けようかと思っていました。ちょうど身近に社会人チームもあったりして、続ける環境はあったので。ただ、続けるか悩んでいる時に気づいたのが、私が好きだったのは中高のあの独特の“部活感”だったなと。もちろんソフトボール自体も好きですが、なによりもその時しか一緒に活動できないチームメイトらと頑張るというプロセスが楽しかったんですよね。
「部活」における、チームメイトとの日常は素敵な時間ですよね。大学のソフトボール部とも迷いませんでしたか?
そうですね、私の大学はソフトボールの強豪校で、ソフトボールを続けるか迷っていた私にとっては少しハードルが高かったです。部活・サークル選びをしていた1年生の当時は勉強との両立にも不安がありましたし。
「自分のバリューってなんだろう」
なるほど、ではそこからどうしてラクロス部を選ばれたのでしょう。
大学入学前から「高校までとは違う、新しいこと」にチャレンジしたいと思っていました。中高の部活感を味わいたいという思いもあったので、経験したことがないスポーツ系の団体ということでラクロス部に決めました。新歓とかでも、上級生から声かけられる前に私からコンタクト取って、先輩方の話を聞いて最終的に決めましたね。
その時から選手ではなくマネージャーをすると決められていたんでしょうか?
はい。「高校までとは違う、新しいこと」という観点で、中高とずっと選手をしてきたので、大学ではマネージャーにチャンレジしてみようと思いました。
実は高校で部活をやっていた時からマネージャーには興味があって。高校生の時、当時のマネージャーにものすごく感謝していたんですね。働き者でチームのために尽くす彼女の姿を見て、大学に入ったら私もマネージャーとして貢献したい!と思っていました。
今2年間マネージャーをやられて、どんな思いがありますか?
高校時代のマネージャー像とは全く違いますね。高校でのマネージャーはプレーにはあまり関わらず、運営に専念していましたが、ラクロス部のマネージャーはプレーにも直接関わるし、組織作りも選手と一緒にやったりしています。そもそも「マネージャーのやること」というTODOリストがあるわけではないので、その時のチームにとって何が必要か、何をすればより良いチームになるか考え、できることはなんでもやる、といった関わり方ですね。
確かにラクロス部のマネージャーは、高校までの「マネージャー」という言葉からイメージする姿とはだいぶ違いますよね。それだけ違いが大きいと苦労したこともありませんでしたか?
正直ありました。最初のうちは何をするにつけても「選手に口を出したら『マネージャーじゃん』と思われないかな」と不安でした。自分がどこまで言っていいのか、選手たちとどう関わればいいのか、どうしたら自分のバリューを発揮できるんだろう、という悩みは最初のうちはずっとありましたね。
葛藤を乗り越え気づいた、私の強み
多くのマネージャーが共感する悩みだと思います。どうやって乗り越えられたんでしょうか?
先輩の選手からもらった声ですね。私がもともと選手だったことを尊重してくださって、運営に関することはもちろん、プレーに関することでもなんでも相談していいし、その意見は価値があると認めてくれました。その一言のおかげで自分の価値みたいなものを認められましたね。
直接認めてもらえると安心できるし、自信を持てますよね。直接認め合うことってなかなか機会がなかったりしますが、とても大切なことだと思います。
同期だけでなく先輩ともなんでも相談できる関係を築けるのが私たちのチームの良いところだと思います。「姉妹制度」という、学年が違う2人でペアを組む制度があって。ラクロスのプレーのことはもちろん、ラクロス以外の運営のことだったり、私生活のことでも相談できる相手がいることは心強いです。
葛藤を乗り越えた今、山本さんの強みってなんだと思いますか?
チーム全体を客観的にみる能力でしょうか。運営においては、今のチームに足りないこと、必要なことを見極めて、ゼロイチで行動に移す必要があります。ラクロスのプレーにおいても、データを取得して分析し選手に伝えたり、選手と直接コミュニケーションをとってチームが強くなることに貢献できていると感じます。こういう経験ってチームスポーツだからこそできるものだし、そこで培われる能力って実際に経験しないと身につかないものだと思います。
「実際に経験しないと身につかない」はまさにその通りだと思います。最後にチームの目標を教えてください!
勝率6割以上を達成し、かつ楽しく勝つことを目標にしています。2020年は新型コロナウイルスの影響でそもそもリーグ戦に参加することができませんでした。だからこそ今年は試合ができることに感謝しつつ最大限楽しみ、勝ちを求めていこうと思います。