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「やり抜く力」を鍛える学生生活

ラクロス部から教員の道へ

 

大学時代、男子ラクロス部で2年連続で主将を務め、現在は高校教員として働く粕谷公輝さん。部活における経験が学校教育の現場に活かされていると語る粕谷さんに、ラクロス部の魅力について語っていただいた。

(2021年3月29日)

プロフィール


粕谷公輝(かすや こうき)

1997年生まれ。北翔大学男子ラクロス部出身。3年時から2年連続で主将を務め、4年時にはチームを北海道地区3位に導く。2019年度北海道地区学生連盟委員長。大学ではスポーツ教育学を専攻し、現在は学校法人三幸学園飛鳥未来高等学校札幌キャンパス(北海道)において保健体育科の教員として勤務。

 

ラクロス部主将、そして教員としての経験から生まれた「アオイクマ」


粕谷さんは現在教員として教育に携わられていますが、ラクロス部の経験がいきていると感じられることはありますか?

教員として働く上で、「焦らない、折れない、威張らない、腐らない、負けない」という5つの言葉を大切にしています。「アオイクマ(青い熊)」というフレーズにまとめているのですが、これらはラクロス部の経験と、教員として1年間働いた経験が紐づいて生まれたものです。

 

具体的にはどういった内容でしょうか。

「焦らない」は過去の失敗を通じて、準備の大切さを痛感したことがもとになっています。学生連盟の委員長として大会の運営に携わる過程で、事前に想定できることはすべて考えつくしておくと良い結果をうめましたし、逆に直前になって焦って準備をした時には大きな失敗をしました。「焦る」といった感情を抑えることが大切、という意味ではなく、そもそも焦ることがないように、できることは全てやっておく、という意味で生徒にも伝えています。

また教員として日々多くの生徒と触れ合う中で、敬語を使えないとか、ルールを守らないといった場面を目にしてしまうことがあります。こういった時に教員である私が見過ごしてしまっては、生徒は変化のきっかけを一生掴めないかもしれないんですよね。だから、日々生徒と接する上では、「折れない」を意識して、最後まで伝え、見守ることを大切にしています。

「威張らない」という言葉は、主将や学生連盟委員長といったトップを経験したことで生まれたものです。やっぱり威張っている人には誰もついてこないので、親しみやすく、下級生の意見を引き出せるようなコミュニケーションを意識していました。今も生徒に距離感を感じさせないような存在を目指しています。

 

主将の時にも「折れない」で、チームメイトと関わることを意識されていたんでしょうか

そうですね。自分自身の発言に責任を持って、最後まで関わることは大切にしていました。僕の伝え方があやふやだったことが招いた失敗が何度かあったので、そういった経験をきっかけに丁寧に人と関わるということに意識が向くようになりました。

「腐らない」「負けない」はどちらも継続の大切さを表しています。

僕自身、ラクロスをやっている中でどうしてもしんどい時とか、モチベーションが上がらない時期があって。辞めてしまったチームメイトたちも、モチベーションを失ったという理由が多かったんですよね。でも、何事も最後までやり抜かないと意味がなくて。プロセスから得ることも多いですが、最後に目標を達成するまでこだわり抜いて、そして結果に向き合うことで初めて成長できると考えています。「負けない」という言葉も、「一度決断した自分に負けないでやり続ける」ことの大切さをまとめたものです。

 

始めた時、あなたは絶対にワクワクしていた


粕谷さんにとって「継続」がキーワードだと感じました。

2年生から3年生までは怪我も多くて満足に練習できない時期が長かったんですよね。また、大学の学費を自分で払っていたので最低でも週に6日はアルバイトをしていて、正直練習に行くことが辛い時期もありました。ただ、やっぱり自分で選択したラクロスなんだから、どれだけ辛くても練習には行こうと。どうしてもラクロス部を辞めるという選択は受け入れられなかったんですね。

 

『やり抜く力 – GRIT』という本がベストセラーになるように、「継続」の大切さは認識されていますよね。「継続」のためのコツはありますか?

初心を振り返ることですね。誰でも、どんな活動でも、始めた時にはワクワクしていたはずなんですよね。高校時代の部活も、大学でこれから始める部活・サークルも、ワクワクしたから始めるはずです。もちろん人間なので、これから先モチベーションが上がらない瞬間は訪れると思います。そういう時には、その活動を始めた時の自分を思い出して、腐らず、負けないでいてもらいたいです。

 

最後までやり抜くことの価値


粕谷さんはラクロスのどんなところにワクワクして過ごしていましたか?

これは社会人になってから振り返って特に感じたことですが、公式戦の運営などオフィシャルな活動について、学生だけで意見を出し合い、比較検討し意思決定するといった点について、自分たちが常に主役であることができたと感じています。これは当時から、責任を感じつつもワクワクしましたし、今振り返ると本当に貴重な経験ができたと感じます。

 

ラクロス部におけるミーティングや、学生連盟における会議は大人顔負けで、どうしたら自分の思いを正確に伝え、説得できるかということの経験値を獲得できました。

 

もちろん大人の方にもたくさん助けていただきましたが、ラクロスのすごいところは最初の企画と、最終的な意思決定という大切なところは学生がグリップしていること。これはなかなか他のスポーツでは経験できないことなんじゃないかと思います。

 

「学生主体」がラクロス部のキーワードとして挙げられますよね。

部活や学生連盟といった、自分たちの組織の目標を自分たちで立てることも良い経験でした。4年間を振り返ってみると、ラクロス部などで目標を持って最後までやり抜いた人は、学業など部活以外の場面でも最後までやり遂げ目標を達成している人が多かったです。

 

大学生時代、部活もバイトも勉強も、いつかモチベーションが下がってしまったり、辞めたくなる瞬間が訪れるかもしれません。僕自身辛い瞬間はたくさんありました。でも、最後までやり抜いたことで初めて「1つの経験」として身になったと感じます。辛い瞬間には、「アオイクマ」と、初心を振り返ることを思い出して、ぜひ最後までやり遂げることを大切にしてもらいたいなと思います。

 

 


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