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スタッフから日本一へ

勝利に導くスタッフとは

武蔵大学男子ラクロス部OGで、元々は卓球のスポーツ推薦で大学に入学した伊與木さん。

しかし、ラクロス部スタッフという新たな世界に飛び込み、スタッフとしての価値を追求してきた。

彼女の考えるラクロス部、そしてスタッフの魅力とは。

(2022年3月17日)

 

プロフィール


伊與木 亜里紗 (いよき ありさ)(写真真ん中)

武蔵大学男子ラクロス部4年(2021年時点)。2021年度武蔵大学男子ラクロス部スタッフリーダーを務めた。マネージャーとして分析班、審判としても活動。

 

ラクロスとの出会い


スポーツ推薦で武蔵大学に入学されたということですが。

そうですね。高校まで卓球をやっていて、大学でも続けるつもりで入学しました。

 

そのなかでラクロス部に入部することになった経緯を教えていただきたいです。

実際入学したら、卓球部の緩さを感じて学生生活をここで過ごすのは違うなと思い、色々なところの新歓に顔を出してました。そこで男子ラクロス部に出会いました。    

武蔵の男子ラクロス部には、スタッフの圧倒的な影響力と実力を感じたんです。そして、スタッフがプレーヤーと同等な立場であって、互いの信頼関係も感じたので。

スタッフがサポートするというより、スタッフも共に戦って日本一を取ろうみたいな雰囲気を感じました。それがすごいかっこいいなと思って。

 

高校までは、自分がプレーヤーだったと思いますが、プレーヤーとは悩みませんでしたか。

本気で打ち込めるなら、プレーヤーでもそうでなくてもいいやと思いました。不思議と男子ラクロス部の魅力に引き込まれすぎて、決断にも悩まなかったんですよね。

あと高校の時から肌感覚ではありますけど、プレーの分析をしてノートにまとめたりしていたので、「スタッフが分析をしてチームを勝利に導く組織」っていうのにすごく惹かれてたのもあります。

 

分析班としての怒涛の日々


武蔵大学のスタッフは分析のほかにも審判、会計、トレーナー、マーケティングっていうように5つユニットがあると思いますが、入部当初から分析をやろうと決めていましたか。

そうです。武蔵の分析班は今まで自分が肌感覚でやっていた分析とは違って、Excelを使って自分たちでフォーマットを作って、分析結果を数値として可視化していて。

その数値から読み取ったことで自分たちにしか出せない戦術だったり 、気づきだったりをプレーヤーに還元して高めあってるっていうのを先輩方に聞きました。なにそれめっちゃ楽しそうじゃん!って思って、分析やるつもりで入部しましたね。

 

プレーを一切しないスタッフがラクロスの知識をつけて、更にそこから分析して還元までするっていうのはかなり難しいことだとは思いますが。

まさにその通りだと思います。分析班は私が入部する少し前にできたばかりだったのもあって、発足当初はデータも班自体もチームからあまり信頼されていなかったような気もしますね。知識も、その知識のつけ方すらも確立されていなかったので。

 

いまや武蔵の分析班ってかなり有名ですよね。チーム内で信頼を獲得するまでの過程ってどんな感じでしたか。

私達の戦術理解が深まったのは、ちょうどコロナ禍に入って練習がなくなったころの活動がきっかけですね。それまで数値は沢山出していても、それを戦術に結び付けられていないのが分析班の課題でした。

そこで、ヘッドコーチとプレーヤーに手伝ってもらって、週1回勉強会をするようになりました。例えば武蔵大学と早稲田大学の試合を見て、1試合通してどういう戦術の変化があってどういうことがきっかけで試合が変わったのか、何をしたら逆にこっちが勝ってこっちが負けたかとか。気づいたことを全部全員で書き出して発表して、フィードバックをもらうというサイクルを繰り返していました。

 

なるほど。最初は何を書きだしたら良いかすらわからないと思うんですが、動画の見方、視点の置き方はどのように養いましたか。

もう最初は何も考えないで、「思ったことをそのまま書いて」とコーチに言われるがまま書いてました。例えばゾーン(※ディフェンスの戦術の1つ)だったら、なんか変な形で守ってる、みたいな(笑)この変な形を崩して攻めるにはどうしたらいいかわからない、とか。

わからないことは全部聞いて学んで、を繰り返すところから始まります。上手く書かなくていいから、とりあえず疑問をめちゃめちゃ見つけて聞きまくってました。1本の動画を見るのに、7,8時間はかけていたと思います。

 

コロナ禍に入る前は、そこまでの取り組みはしていなかったのですね。

そうですね。それまでは、そういう戦術の理解の仕方はしていなくて、個人個人にフォーカスいた分析に重きを置いていました。あなたこういうの得意なんだから、もっとこうした方がいいよ、みたいな。

オフェンス、ディフェンス、チーム全体っていう見方はしていませんでした。でも、チームの状況を変えるため、チームを勝たせる分析班を作るためには必要だと思って、始めました。

 

勝ちに繋がるスタッフとは


そこから実際チームの状況は変わりましたよね。

変わったと思います。でも、すぐに、というわけではもちろんなくて。

それまでプレーヤーは、スタッフからデータと分析に基づく提案を受けるっていうことに慣れていなくて。ましてやプレーしてないし、ラクロス別にわかんないくせになんだよみたいな反発は多少あった気がします。

でもそんな雰囲気に戦うように、負けじと分析の精度を上げていきました。戦術も少しずつ理解できるようになって、できることがどんどん増えていきましたね。

実は分析班がここで信頼を得たなって思ったきっかけがあって。自分がプレーヤーを上回った瞬間があったんですよ。

 

めちゃくちゃ気になります!!

数字って絶対嘘つかないんですよね。どうしても、数値と絡めてあなたはこういうところが苦手で、その理由として戦術的にこういうことをされたときにこうなるからだよみたいな。そんな根拠づいたことを言われたら、どうしてもぐうの音も出ないじゃないですか。そこから信頼につながったのもそうですし、“分析班のコーチ化”に繋がったなと感じています。

 

チームを勝たせる分析班を作りたい、とありましたが実際チームを勝ちに導いた、役に立ったというような経験はありましたか。

そうですね、3年生のときの特別大会の中央大学戦の時からずっとですね。自分が考えた戦術とか、自分が出した分析、こうやって崩してこう狙えば入る、って提示したものがそのままきれいにはまって点を取ることがめちゃくちゃ増えました。

自分はプレーしていないけど、絶対自分のやってきたことが確実に1点に繋がっていると思えることが増えたし、プレーヤーに実際そういってもらえることが多くなって。中央戦の時からずっとそんな感じです。

 

分析シートは試合前までに行って提示するものだと思いますが、試合中にプレーヤーに指示したりすることもあるんですか。

めちゃめちゃあります。分析シートの内容、相手の特徴は全て頭に入れた状態で試合に行っているので。でも、試合って思うようにいかないことも多くて、相手が戦術を変えてきたり、プレーヤーが緊張して普段できるはずのことができないと勝手に思い込んでしまうときがあったりします。

そういうときに分析班が客観的視点をもって、いつもできるはずなのにやってないからこういうことをしようっていうような提案をして、一緒に試合中改善していくことも多いです。

 

プレーヤーとの信頼関係が成立している証拠ですよね。プレーヤーとスタッフはやっぱり仲いいですか?

仲良いです。特に同期とは本当に仲が良くて。

男子女子とかプレーヤースタッフとか全く関係なく仲いいし、プレーヤーはいつも「俺らよりお前らのほうが頑張ってるよな、ありがとう」みたいな感じで。一緒に日本一なろうなって言ってくれてました。みんなのこと戦友だと思っています。

部活がないオフの日でもプレーヤースタッフ一緒に遊んでいて、結局週7日、一緒にいるじゃんみたいな感じでしたね。(笑)

 

ラクロス部の魅力


男子ラクロス部のスタッフの魅力はズバリなんだとお考えですか。

ラクロスは大学スポーツで、プレーヤーもスタッフもゼロから全員一緒にスタートできるっていうのがまず一つの大きな魅力だと思います。それこそ分析でいえば、本気出せばプレーヤーと同等もしくはそれ以上の戦術理解だってできるし、それって大学スポーツならではなんじゃないかなって思います。

あとラクロスっていうスポーツ自体がまだまだ発展途上ですよね。設備も各大学の組織体制も未発達の大学が多いと思います。だからこそ磨いた分だけ光るし、結果に出るのがラクロス部なんじゃないかなと。

 

ラクロス部での4年間を振り返って、一番うれしかったことはなんですか。

最後のリーグ戦(2021年)で早稲田大学に勝ったことですね。

あの時は分析の通りに相手が動いてくれて上手くいったというのもありましたし、精神的にも互いに支え合ってチーム一丸で戦えた実感がありました。

なぜかわからないけど、あのときは本当に負ける気がしなかったんですよ。チーム全員がノリにノリまくっていたというか。勝つための万全な準備をしてきた自信があったからかもしれないですね。今までやってきたことが全部報われた気がして、本当に幸せでした。

 

最後に、この記事を読んでくれている新入生にメッセージをお願いします!

人生を変える経験がしたい人。今まで部活とか何か頑張ってきたことがない人。高校で悔しい思いをしたから大学でリベンジしたい人。ラクロス部は色んな人が輝ける場所だと思います。

そしてさっきも言ったように、未発達なスポーツだからこそ、自分の頑張りが目に見えやすいと思いますし、辛い思い以上に良い思いできると思います。際限なくやりたいことをどこまででもできるから、絶対楽しくなりますよ。入部して後悔は絶対しないだろうなって思うので、ぜひラクロス部を選んでくれたらうれしいです。

 

 


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